贈与とは

司法書士の栗原 誠です 

いつも拙いブログを読んで頂き、ありがとうございます。
本日は贈与について書いてみたいと思います。

物を贈与する、贈与税など日常的に贈与をいう用語を聞きますが、法律上、贈与とはどのようなものなのでしょうか。

 民法によると、贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える契約であると規定されています。例えば、無償でAさんがBさんに自分の本を与える契約は贈与契約にあたります。

 贈与契約は、契約の成立に当事者の合意のみでよいとされているため、諾成契約にあたります。そして、無償で相手方に自己の財産を与える契約であるため、無償契約にあたります。
また、贈与者には自己の財産を相手方に与える義務が発生するのに対して、受贈者にはなんの義務も発生しないため、片務契約にあたります。

 うっかり口約束で贈与契約を締結してしまった場合、これを撤回できる規定が民法上定められています。すなわち、契約書面を作成していない口約束であり、財産を引き渡すなどの履行をまだしていない場合には、これを撤回することができると定められています。

 上記のような規定があるため、贈与の書面があるかないか、履行があったかどうか争われる事例が数多く存在します。履行についてみてみますと、本などのような動産については引き渡しの終了があれば履行の終了があるといえます。家や土地などの不動産については登記まで備える必要はなく、引き渡しがあればよいと考えられています。

 贈与者は、目的の財産の権利、先ほどの例でいえば、本をAさんはBさんに引き渡す義務を負うことになります。

 贈与契約の瑕疵担保責任についてみてみますと、贈与者の責任は売買契約における売主の責任よりも軽減されています。その理由は贈与契約が無償契約であるからであると言われています。

 上記贈与契約の他に、負担付贈与という受贈者に何らかの債務を負担させる契約もあります。これは、例えば、豪邸をあげる代わりに、毎月3万円仕送りを送金するというような、贈与の目的物と対価であるとはいえない程度の債務を負担するような場合のことをいいます。

遺留分減殺請求権の行使とは

 相続に関連して遺留分減殺請求権を行使するという話を聞くことがありますが、この権利の行使について法律ではどのように定められているのでしょうか。

 遺留分減殺請求の行使については民法で詳細が定められています。

 遺留分減殺請求権者が複数存在する場合においては、それぞれの遺留分が侵害された額を保全する限度で減殺請求することができます。

 遺留分減殺請求権が行使された場合の効果についてみてみましょう。金銭の場合においては、すでに履行された部分については返還請求をすることができます。まだ履行されていない部分については、その後の履行の請求はできないことになります。土地などの特定物を遺贈した場合においては、原則として現物返還を請求することになります。もっとも、民法上、受遺者や受贈者が価額を弁償することによって現物返還をしなくてよいことが認められています。

 受贈者が遺留分減殺請求権を行使される以前に贈与の目的物を他人に譲り渡した場合、遺留分権利者に価額賠償をする必要があります。

 遺留分減殺請求権が行使された場合の対象となる贈与契約や遺贈の効力についてみてみましょう。判例は形成権説を採用しており、遺留分の減殺請求によってその限度で贈与や遺贈の効力が失われるので、現物返還が認められると考えられています。

 民法1042条では、減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、相続開始の時から10年の期間制限に服するものと定められています。

 遺留分の放棄についてみてみますと、民法では、相続開始前の遺留分の放棄については家庭裁判所の許可を得たときに限り認められています。遺留分放棄をしたとしても、他の遺留分権利者の遺留分が増えるわけではいため、注意が必要になります。遺留分放棄によって被相続人が処分できる財産の割合が増加することになります。相続が開始した後の遺留分の放棄は自由に行うことができます。

委任とは

 委任状や仕事を委任するなど、日常で委任という言葉をよく聞きますが、法律上、委任とはどのようなものなのでしょうか。

 民法643条では、委任は、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じるものと定められています。

 委任された法律行為についてはその完成は目的とされていません。請負は仕事の完成を目的としているため、この点で委任と請負は異なるといえます。

 委任は、この人だからこの仕事を頼もうという、いわば当事者間の信頼関係が基礎にあります。委任をされた仕事については受任者に一定の裁量があります。この点で、指示された仕事を行う雇用とは異なるといえます。

 現在行われている委任契約のほとんどは受任者が報酬をもらう有償委任ですが、民法上、委任では特約がないかぎり受任者は報酬を請求することはできません。

 委任は当事者の合意のみによって成立する諾成契約です。民法上、委任者・受任者どちらからでもいつでも委任契約を解除することができると定められています。これは委任契約が当事者の信頼の上に成り立っており、信頼関係がなくなった以上はいつでも契約を解除できるようにしたものであるといわれています。

 受任者は、善良な管理者の注意義務をもって受任した仕事を処理する義務を負うこととされています。これを善管注意義務をいいます。すなわち、自分のものを管理するよりも高い注意義務をもって受任した仕事を処理するべきであるということです。

 受任者は委任者の請求に応じて状況を報告したり、終了後に結果を報告する義務があります。そして、委任事務処理にあたって、受け取った金銭その他の物があるときは、それを委任者に引き渡す必要があります。受任者が、委任者のために自己の名前で取得した権利があるときはそれを委任者に移転する義務を負います。受任者が委任者に引き渡す必要のある金銭を自分のために消費してしまった場合には、その消費した日以降の利息を支払う必要があります。